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荻野 智生によるZINE
カメラにあそばれる
「写真」は主観を客観的に、または、誰かの主観を自分の主観でみなおす事が出来る。「カメラ」は装置。
写真を眺める時、対象となっている物や事象を見ているようで、実際にはその人の目や記憶を奥に感じている事が多い。私は今の所そんな風に考えている。
「カメラを分解したいので付き合ってほしい」
彼はそう言った。写真がどうこうよりも、装置をこわす事からはじめなければ先へ進めないらしい。クレイジーだと思いながら、嫌な気持ちはしなかった。どこかでそれを待っていたのかもしれない。
(写真を撮る)という行為は明らかに生活の一部となった。ポケットやカバンに潜む(それ)を使う場合であれば、必要なのは指先の動作2、3程で、僅か数秒の事である。今や誰もが当たり前に記録し、無限に作品が生まれている。
ふと考えた。
その行為全体ではなく、(写真)と(カメラ)を切り離した時、それぞれは私達にとってどれ位の距離にいるだろう。
カメラロールを埋め尽くすそれらがどのように生まれるか、最近考えただろうか。肌身離さず持ち歩く(それ)がカメラでもあるという感覚はあるだろうか。
写真を撮る事があまりにも速く、あまりにも感覚的になり過ぎて、道具や道筋の事は随分と端の方へ追いやられていないか。
彼はこうも言っている。
「写真というのは光と道具があってこそ。今自分がやっている事は、切り取るだけの泥棒なのかもしれない」
物事に色んな側面がある事は周知の事実。
なにかアンチテーゼのようなものではなく、このZINEは(写真を撮る)という行為において、その側面を一つずつ知りたいという強い欲求に動かされた、彼の記録だと思っている。
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